仏教主義学校連盟 弁論大会で感じた、言葉の持つ力

みなさまこんにちは。私学妙案研究所の清水です。
2018 年 11 月 22 日、東京都大田区にある、立正大学付属立正中学校・高等学校で開催された、「仏教主義学校連盟弁論大会」を見学させていただきました。

仏教主義学校連盟弁論大会とは、仏教の精神を建学の理念とする学校の代表者(中学生、高校生)が集まり、弁論を行うというものです。毎年この時期に行われ、今回で 35 回目を迎えます。つまり、35 年の歴史がある大会です。

今回は、13 校 25 名の生徒さんたちが弁論を行いました。時間は 1 人5分、テーマはそれぞれが設定します。プロジェクター、配布資料の使用は一切なく、声だけでの発表、審査が行われました。

このような雰囲気で会が進行します。司会は、立正大学付属立正中学校・高等学校の放送部の生徒さん達が担当されました。

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会場の様子

参加 13 校は、以下です。(発表順)
淑徳巣鴨高等学校/駒込中学校/鶴見大学附属高等学校/芝高等学校/横浜清風高等学校/千代田女学園中学校/立正大学付属立正中学校・高等学校/聖徳学園中学校・高等学校/東京立正中学校・高等学校/宝仙学園中学校・高等学校/駒沢学園女子中学校・高等学校/世田谷学園高等学校/淑徳高等学校

 

扱われたテーマは、命、心、生き方に関することが多かったです。
発表のスタイルとしては、

・弁論大会という機会を用い、広く伝えたいことを話す
・興味があったことを調べ、発見やそれについての意見を共有する
・自身の将来の夢や生き方について話す

の3つに分類されるように感じました。

今回1位を獲得した立正大学付属立正中学校3年生の田中里奈さんは、「保護犬たちの目に燈し火を」というタイトルで弁論をおこないました。自身が保護犬の譲渡会に行き、保護犬を譲り受けた経験から、保護権について調べ始め、保護犬の殺処分を減らすには、現状を伝え、より多くの人たちに保護犬を引き取ろうと思ってもらうことが大切だという結論に達し、この弁論大会で訴えることにしたそうです。その弁論はとても力強いもので、一言ひとことが、聴衆者の胸に響きました。

 

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立正大学付属立正中学校の田中里奈さん

発見や疑問を中心とした弁論には、日本で使われる生き物の分類「在来種」と「外来種」とはいったい何か、を入り口とし、生き物の命について考えるという弁論や、タバコをやめられない人にどういう情報を提供すると効果的かについての弁論がありました。

また、生き方については、小学生の時にお世話になったバスケットボールのコーチが、子ども達に嫌われてでも子ども達が成長できる環境を提供するという姿勢から学んだことについての弁論や、親友を病気で亡くし、それをきっかけに自分の将来の目標を見つけた、という弁論などがありました。

命や心といったテーマは、大人になるとその難しさゆえについ目を背けたり、明言を避ける傾向にあります。田中さんを含め、今回登壇された生徒さんたちは、自分の気持ちにまっすぐ向き合い、それを伝えたいという姿勢で弁論をされていました。弁論大会に向けてだけでなく、毎日の生活でこういったテーマについて考えていなければ、なかなか今回見せていただいたような論にはならないと思います。仏教の精神を建学の理念とする学校の弁論大会だからこそ、こういったテーマについて考え、伝えられることがあるのではないかと感じました。

また、投影資料無しでどのくらい伝わるのかと、開始前は少し不安に思っていましたが、声のトーンを使い分けながら表現豊かに弁論される生徒さん達を見て、言葉だけでもたくさんのことが伝わる、そして、言葉だけだからこそ、伝わりやすいこともあるということを学びました。

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終了時刻にはすっかり暗くなっていましたが、とても良いものを見せていただいたので、心は明るかったです。

見学をさせていただき、ありがとうございました。