学びの中心! 富士見中学校・高等学校のラーニングハブ

みなさまこんにちは。私学妙案研究所の清水です。

先日、東京都練馬区にある、富士見中学校・高等学校にうかがいました。

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富士見中学校・高等学校は、2020年の創立80周年に向け、中学・高校校舎の建替え、教育環境の整備が行われています。その一環として、図書館もその使い方も含めて再検討をされ、今年(2018年)の9月に「Learning Hub(ラーニングハブ)」としてリニューアルオープンしました。校舎全体もとても明るい雰囲気ですが、こちらの図書館も、開放的で、カフェのようです。

 

ラーニングハブを見学させていただくとともに、空間構成、図書配置、家具の選定など、全体に関わられた司書教諭の宗愛子先生にお話を伺いました。

 

まずは空間構成について、館内に掲示されていたマップを使って解説させていただきます。

ラーニングハブは、2階から3階の二層ににわたり、階段でつながっています。

どちらにも書架と、読書・学習スペースがありますが、置かれている家具が少し異なります。

 

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3階の入り口から見たところです。

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カフェのような雰囲気ですね。手前の机と奥の机で高さが異なっていて、自分に合った場所を見つけられそうです。重い雰囲気にならないよう、床の色の明るさにもこだわりがあるそうです。

書架の手前には、ソファーとカウンターを組み合わせた家具があります。

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そして、天井にはプロジェクターがセットされていて、スクリーンを引き出すと、ミニレクチャーやプレゼンテーションができるようになっています。

このソファの角度が、お互いリラックスして座れるそうです。

 

放課後、このスペースで自習をする生徒さんたちもいるそうですが、話してはいけないというルールはなく、生徒さんたちは思い思いの使いかたをしているそうです。校舎内には他に自習室があるため、黙って集中したい生徒さんはそちらで勉強するそうですよ。

 

2階には、可動式のテーブルと椅子があり、1クラス分の授業ができます。

見学させていただいた際は、クラブ活動でのグループワークが行われていました。テーブルごとにホワイトボードがあるのは、使い勝手がよさそうですね。

机と椅子を完全に壁側に寄せて使うこともできます。先日は、国語の授業で竹取物語の劇が行われたそうです。

 

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季節の本のコーナー、アートのコーナ、本の福袋などがあり、生徒さんたちが本に興味を持つきっかけがたくさん準備されていると感じました。

 

ラーニングハブは、放課後だけでなく、授業中もよく使われます。

富士見中学校の探究プログラムは、「課題設定」、「情報の収集」、「整理・分析」「まとめ・表現」の力を、3年間でつけていきます。調べたり、文章を書いたりする機会が多くあり、宗先生がサポート、アドバイスをされるそうです。たとえば資料を読みこむことを目的とするか、調べる力をつけることを目的とするかで、宗先生の準備のされ方も変わってくるそうです。中1、中2の生徒さんたちが探究の結果をまとめた冊子を見せていただいたのですが、様々な資料を参照し、わかりやすくまとめられていることに驚きました。

 

その他の教科についても、図書館を活用するシーンは多くあり、教科の先生と、宗先生が相談をしながら授業をつくられるそうです。まさに図書館 、そして宗先生が学びの中心、ラーニングハブですね!

 

図書館とはいえ、本が主役なのではなく、生徒が、そして生徒の学びが主役であるべきなんだな、とお話を伺いながら、感じました。

見学をさせていただき、ありがとうございました。

 

生徒がアーティストの作品を紹介する、富士見丘中学校・武蔵野美術大学「Feeling展」

 

みなさまこんにちは。私学妙案研究所の清水です。先日(2018年11月23日)、東京都渋谷区にある富士見丘中学校で行われた、武蔵野美術大学と共同開催の「Feeling展」を見学させていただきました。富士見丘中学校・高等学校の中学1年生~3年生と、高校2年生で行われている探究学習「自主研究5×2」の一環で、中学2年生の生徒さんたちが、武蔵野美術大学の学生およびプロのアーティストの作品と、キュレーションについて半年かけて学び、来場者に作品の解説を行うというアートイベントです。

 

 

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6回の授業で、武蔵野美術大学を訪問し、アートについて学び、アートの制作現場を見たり、美術館の学芸員の方に講義を受けたりしながらアートの知識を深めていきます。また、数名ずつのグループに分かれ、解説を担当するアーティストとのコミュニケーションを行い、作品についての情報を集めます。また、展示会場のレイアウトやおもてなしの方法の検討も行います。

 

全体のキュレーション、アーティストの選定は、武蔵野美術大学 芸術文化学科教授の杉浦幸子先生がつとめられます。

 

当日の会場の様子です。

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日本画、写真、油絵など色々な作品を、それぞれ担当の生徒さんたちが解説してくれました。解説を聞くことで、作品自体にも発見があるのですが、特に面白かったのは、その作品にまつわるエピソードです。例えば、あるアーティストが動物の絵を描くために、何度も特定の動物園に見にいくこと、あるアーティストが絵をあえて未完成にしておく理由など、アーティストの人物像が見えてくるようなお話を色々とうかがうことができました。これは生徒さん達がアーティスト本人から直接話を聞いているからこそ、親近感を持って語れるのだと感じました。アーティストの方達も、生徒さんたちの素朴な疑問や感想が、刺激になるということでした。

 

作品制作に使われている画材の展示コーナーや、映像コーナーもあります。

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生徒さんたちによるお茶のサービスや、感想の展示コーナーも素敵でした。

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生徒さん達を通してアートを身近に感じることができる、とても楽しいイベントでした。見学させていただき、ありがとうございました。

 

【Meet up! Teachers】 中村中学校・高等学校 校長 永井哲明先生からのメッセージ

 

私学妙案研究所は、普段なかなか会うことのできない魅力的な私学の先生及び教育関係者の私学の魅力についてや教育論を、ご依頼を受けたイベントや講演会、メディアを通じて皆さまにお届けするために、11月1日(木)より、業界初となる私学の先生及び教育関係者のプロダクション『Meet up! Teachers』をオープンしました。

 

現在5名の私学の先生方に登録をしていただいております。それぞれに専門領域をお持ちの先生方なので、講演会、取材などにお声掛けをいただけますと、幸いです。

 

さて、本日は、その中のお一人、中村中学校・高等学校の校長、永井 哲明先生のメッセージを掲載いたします。

 

中村中学校・高等学校  校長 永井哲明先生からのメッセージ>

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本校では、100年ライフを見据えたキャリアデザインの授業を行っています。

私は2016年4月より、本校の校長を務めております。中村学園に奉職して35年目になります。担当教科は外国語ですが、キャリアコンサルタント(国家資格)、上級教育カウンセラー(日本教育カウンセラー協会認定)、キャリア・カウンセラー(日本 キャリア教育学会認定)でもあります。大学進学だけを目的とするのではなく、その先の人生も考えてもらいたいという願いをこめて、本校の進路指導部を「キャリアセンター」という名称に変え、キャリアデザインのカリキュラムを検討してきました。

 

キャリアデザインの授業は、2002年より行っています。全学年で年間20~30コマですから、大体週1時間はあるという形です。中学ではまず、自身のいる社会について考えます。自分のことも相手のことも大切に思い、コミュニケーションを取る練習を行います。キャリアは将来のためというイメージがあるかもしれませんが、今の積み重ねがキャリアとなっていくのです。

 

学年があがるにつれ、視野を広げていきます。自分の営みがどのように社会に貢献するか、他者と協力して、どのような「協奏社会」を創っていくか、を考える中で、自身の将来、進路についても自然と考えるようになります。将来については、中学の3年間では「夢」高校の3年間では「希望」を持つようにと生徒たちには話しています。憧れに近い夢を、実現するための希望に変えていきます。

 

生徒たちが進路を考える際、ひとつの目標として、30歳からの自分を想定してもらいます。30歳という年齢は、女性にとってのライフイベント(結婚、出産、育児、自身の昇進、夫の転勤、親の看護・介護など)が起こり始める時期です。また、人生において探し求めていたものを実現する段階とも言われています。中高生のときに将来の”ライフとワークの融合”について考えることで、進路が見えてきます。

 

100年ライフを想定すると、大人も当事者になります

多くの人が100歳まで生きると言われている時代ですから、もちろんキャリアも30歳を超えて続いていきます。中高生には少しイメージしにくいかもしれませんので、それを伝えるためには、大人が人生の当事者となり、ともに歩んでいくことが大切だと思います。我々教員も日々新しいことを勉強しています。例えば理事長の小林は、68歳で京都大学文学部の聴講生となり、1年間の課程を修了し、今は奈良大学で学んでいます。私も教員を続けながら、キャリアコンサルタントの資格を取ったり、大学院に通って2年間研究をしました。

 

保護者会では「保護者のみなさまの夢はなんですか?」と問いかけるようにしています。大人が夢に向かってがんばる姿を見ると、生徒たちもうれしく思うはずですし、自身の将来についても明るい未来を見ることができるのではないでしょうか。先日、生徒のお母様から、保護者会での問いかけをきっかけにして、あるチャレンジを決意されたというお話をうかがい、私も大変うれしく思っております。

 

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永井先生は、中高生だけでなく、大人のキャリア相談にも対応されています。

参加者と直接対話ができる、双方向型の講座での登壇に対応してくださいますので、お子様をお持ちの保護者の方が、ご本人のキャリアについて考える場など、いかがでしょうか。詳細やお問い合わせはホームページからご確認くださいね。

 

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最先端の技術を使った東京電機大学中高のコンピュータグラフィックス教室

みなさまこんにちは。私学妙案研究所の清水です。

先日、東京電機大学中学校・高等学校(東京都小金井市)で行われた小学生向けの講座

「コンピュータグラフィックス教室」を見学させていただきました。講師は、東京電機大学工学部 情報通信工学科 教授 長谷川誠先生と、画像処理研究室所属の高橋尚紀さん(大学4年生)です。画像処理研究室では、映像中の文字情報を文書データとして認識する方法や、指紋認証や顔認証、三次元データの作成、活用についてなどの研究が行われています。昨年度、東京電機大学中学校・高等学校で行われたオルセースクールミュージアムでも、ルノワールの「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」の3D画像を展示していただき、話題となりました。

 

今回の講座も定員20名の募集でしたが、申し込みサイトがオープンしてすぐ、申し込みが殺到し、定員に達してしまった、大人気講座です。

 

今回作成するのは、こちら。石膏像の三次元CGです。

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写真だと少しわかりにくいですが、画面上でマウスを動かすことで、なんと360度の方向から石膏像を見ることができます。

 

このCGのすごいところは、特別なカメラを使わず、iPadスマートフォンで撮影した動画を使って作られているところです。

 

「通常の3次元専用カメラはレーザーが被写体にあたり、跳ね返ってくる原理を使って撮影をしています。高級車などには、3次元カメラがついていて、走行中の風景を3次元で撮影しながら走っています。例えば人が飛び出してきたとしても、その人までの距離を測ることができるので、衝突事故を防ぐことができたり、他の車との距離を確認したりしながら、自動駐車をすることを可能にします。ただ、そのカメラの価格がとても高いため、なかなか一般の自動車には使えませんし、その他の生活シーンにも導入しづらいのが現状です。

 

今回の三次元映像撮影は、三角測量の原理を応用しています。スマートフォンタブレットで、物体と等距離を保ちながら様々な角度から撮影することで、カメラと物体の距離を推測し、その物体の凹凸(すなわちカメラとの距離)もわかるのです」と長谷川先生から説明がありました。

 

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現在多くの人がスマートフォンを持っています。それを使って、新しい設備を購入することなく三次元映像の撮影が実現できるというのは、本当にすごいことですね!まだこれは研究段階ですが、近い将来、実用化されるそうです。

 

「例えば何かが欲しい!となった時、スマートフォンで撮影することで、3次元の形が手に入り、それを3Dプリンタでプリントすることでつくれてしまう、という時代がすぐにやってくると思います。3Dプリンタが一家に一台置かれるようになる時代もすぐにやってきますし、その前にまずコンビニエンスストアに3Dプリンタが導入されるでしょうね。今日これからそれを体験してもらって、こんなことができるんだ!と感じながら、じゃあどんな風に使えるんだろう、と考えながら作業を進めてみてください(長谷川先生)」

 

最先端の技術を使うことで、これからやってくる時代を先に体験できる!子ども達も目を輝かせています。

 

さて、いよいよ体験。高橋さんが詳細な手順を説明してくださいます。

今回の体験は、

・物体の動画撮影

・コンピュータソフトウェア(DVDVideoSoft Free Studio)を用いた動画からの静止画抽出(100枚)

・コンピュータソフトウェア(Agisoft PhotoScan Standard)を用いた三次元CG製作

という手順で行います。

 

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まず、隣室に移動し、被写体の撮影を行います。

 

■物体の動画撮影

まず隣室に移動し、物体の移動撮影を行います。2つの被写体を、iPadを使って撮影します。できるだけ水平を保ちながら、右から左へゆっくり動きます。

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■動画の取り込み

次に、コンピュータ室に戻り、動画をパソコンに取り込み、保存します。

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■静止画抽出

DVDVideoSoft Free Studioの機能を使い、動画を100の画像に分割していきます。

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■三次元

いよいよ三次元CGへの変換です。Agisoft PhotoScan Standardの機能を使うと、取り込んだ写真から三次元CGをつくってくれるので、範囲を再指定するなどの調整を行い、三次元CGを完成させます。

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骨格標本でCGを作ったお子さんもいました。

 

3-4名で1台のコンピュータを使い、わからないところは中高のコンピュータ部の生徒さん達に聞きながら1人ずつCGを作成したのですが、それほどサポートを必要とせず、自分で進められるお子さんが多かったです。興味がある分野だけあり、理解が早いのかもしれませんね。CGが出来上がると、みなさんとてもうれしそうでした。

 

「こういった取り組みをきっかけとして、工学に興味がある人を増やしたいですね」と、長谷川先生。工学を学び、研究を進めていくには、知識を身に付けるだけでなく、今日のように実際にやってみることがとても大切だそうです。手を動かしてみて、うまくいかないという悔しい体験をし、もう一度やってみる、という試行錯誤が、エンジニアを成長させるそうです。参加者のみなさんはとても熱心に取り組んでいたので、これをきっかけに工学の道に進む方もいるかもしれませんね!楽しみです。

 

見学をさせていただき、ありがとうございました。

アートが身近にある教育環境(トキワ松学園中学校高等学校)

みなさまこんにちは。私学妙案研究所の清水です。

先日、東京都目黒区にある女子校、トキワ松学園中学校高等学校を訪問させていただきました。

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トキワ松学園中学校高等学校は、教育の3つの柱が「思考力教育」「国際力教育」「美の教育」となっており、高校からは美術デザインコースがある他、中学でも美術教育に力を入れていらっしゃいます。

芸術は人生を豊かにするすばらしいもの、というお考えのもと、中学・高校では

「生徒の事象を見つめる『目』」「作り出し表現する『手』」を育てることを目標とされています。

入り口の吹き抜けには、9月に行われたトキワ祭の展示ポスターが飾られていました。

 

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立体作品が多く、それぞれ工夫が凝らされています。

また、校舎の地下1階にはギャラリーがあり、横浜美術大学所蔵の作品や、大学生の作品が飾られています。

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見学させていただいた際には、野菜や果物をモチーフとした作品が飾られていました。

 

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カフェにも、作品が展示されています。

展示は、定期的に入れ替えをされているそうなので、生徒さんたちは様々な作品を楽しむことができます。

 

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そしてこちらは、校長先生と横浜美術大学の先生が企画し、生徒さんたちに楽しんでもらおうと、地下1階につくられた一角です。インパクトがありますね!生徒さんたちが自由に使ったり、撮影されているそうです。インスタ映え間違いなしですね!

身近に常にアートがある環境、とても素敵だと感じました。

見学させていただき、ありがとうございました。

 

学校のホームページ内にも「アートギャラリー」があり、生徒さんたちの作品を見ることができますので、ぜひご覧ください。

 

トキワ松学園中学校高等学校

 

東京女学館 館長・理事長 福原孝明先生 インタビュー(オルセースクールミュージアム開催に向けて)

2019年3月、東京女学館中学校・高等学校で、オルセースクールミュージアムが行われます。東京女学館・館長・理事長、中学校・高等学校 校長の福原 孝明先生に、開催の目的、展示の見どころについて、お話を伺いました。

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■開設130年の周年事業としてオルセースクールミュージアム開催を決められた経緯、きっかけについて教えてください

開催を決めた一番の理由は、東京女学館の創立の時期と、展示する作品が描かれた時期が重なることです。19世紀後半は、フランスでは産業革命という時代が大きく変わった時期にあたり、同時に近代絵画の幕開けが、印象派によってもたらされた時代でした。また、日本ではその頃、近代の女子教育の幕開けが、女子校の設立という形でもたらされていました。毎年11月に行っている創立記念式典や、入学当初に私が担当するスクールアイデンティティの授業でも、開校当初のことは伝えていますが、本展示を通して、あらためてその時代について、本校の生徒たちに想起してもらいたいと思っています。

 

またその時代、印象派の画家たちは日本の文化に憧れ、描き方に取り入れていましたし、日本には西洋の文化や生活様式が入ってきて、急激に変化をしていきました。生徒たちはもちろん、卒業生のみなさまや地域の方、来場される方みなさまに、本校の歴史を通して、その変化を両面から見て楽しんでいただければと思います。

 

■本展覧会は2部制となっていて、第1部が「『ローヌ川の星降る夜』が生まれた時代」、第2部が「19世紀と女性たち」となっていますね。第1部のテーマとしてフィンセント・ファン・ゴッホの「ローヌ川の星降る夜」を選ばれたのはなぜですか。

ローヌ川の星降る夜」が描かれた1888年は、東京女学館が設立された年だからです。

本校の設立の背景には、不平等条約を改正し、欧米諸国と対等な関係を築きたいという願いがありました。これは政府だけでなく経済界はもちろんのこと日本国全体の課題となっていて、そのためには男性だけでなく女性の育成も欠かせないと、多くの人が感じていました。欧米婦人と対等に交際できる日本婦人を育成するために、国際基準の女子教育を受けさせたい。これが、東京女学館の設立に関わった人々の想いだったのです。東京女学館は、そのような想いを持つ日本のトップランナーたちの集まり、女子教育奨励会によって、女性の高等教育を実現するために1888年9月11日に設立されたのです。

 

それが、ゴッホの「ローヌ川の星降る夜」が描かれた1888年9月です。女学館は、この年7人のイギリス人教師を迎えて開校しました。彼女らは、1888年1月26日にイギリスを発ち、3月22日に日本に到着し、9月の女学館の開校に備えました。おそらくゴッホが「ローヌ川の星降る夜」を制作していたときと重なり、不思議な縁を感じます。そして、女学館が開校した頃の星空を「ローヌ川の星降る夜」を通して見ることができることも楽しみです。

 

第1部の会場には、本校の開校当初の時代がわかるパネル展示を行います。生徒によるパネルの企画もしておりますので、是非ご覧ください。

それから、現在展示の準備を進めているのが、本校に約45年間在職して英語を教えた英国人教師、ドロセア・E・トロット先生の展示コーナーです。トロット先生は、本校の制服、女学館文字と呼ばれるブロック体制定にも関わられています。英語の指導は厳しかったそうですが、生徒達にはとても慕われていて、帰国の際には多くの生徒が空港に見送りに行きました。本校の歴史について、この展示からも見ていただけると思います。

 

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ドロセア・E・トロット先生



 

 

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制服が忠実に再現されたリカちゃん人形



 

■第2部は「19世紀と女性たち」がテーマとなっています。この展示を通して、来場者および生徒さん達に伝えられたいのはどのようなことですか。

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第2部では、19世紀後半の女性の生き方を感じてもらえるような絵や、女性画家によって描かれた作品の展示をいたします。19世紀後半は、現代と比べると、女性が男性と同じ職業を選択したり、活躍をするのは難しい時代でした。こちらの鑑賞を通して、この時代の女性の生き方を感じ、女性の自立について考えてもらえれば、と思います。

 

東京女学館も女子教育とはいいながらも、開校当初は良妻賢母のための教育でした。様々な分野で活躍する夫をいかに支え、家庭を盛り立てていくかが自分の役割だと認識していた生徒が大半でした。しかし、1980年代には生徒の意識はすっかり変わっていました。それまでは本校併設の短期大学に多く進学していましたが、次第に目指したい学部が法学部、経済学部、医学部、薬学部、理学部などに変化していき、1980年代には、大半がそのような進路選択になっていました。その流れを受けて、創立110年に教育目標に「人と社会に貢献する」という言葉をいれ、「高い品性を備え、人と社会に貢献する女性の育成」としました。高い品性と人間性を備え、さらに男性とともに社会に貢献する人に育ってほしいという願いを込めました。また、本校では20年前から「インクルーシブ リーダーシップ」を育てる教育を行っています。中高6年間の様々な体験を通して、自分たちが力を合わせて、実現していくことを大切にしています。

 

そのような生徒達が、展示を見て、どのように感じるかも楽しみですし、ご来場のみなさまにも、時代の転換期と言われる今だからこそ、あらためて女性の生き方について考えていただければと思います。

 

■生徒さんたちによる企画展示もありますね。

 非常にうれしかったのは、美術選択の生徒たちが、実行委員長、副委員長をやりたいと手を挙げてくれたことです。我々が目指す教育について、生徒が理解して、自ら動いてくれるのは、本当にうれしいことです。展示やイベントなど、たくさんの企画アイディアが出てきています。その企画が成功することを期待するとともに楽しみにしています。

 

■今回の企画をきっかけに、貴校をはじめて訪れる方もいらっしゃると思います。企画の内容はもちろん、貴校について知ってもらいたいこと、伝えたいことはありますか。

ミロや、マチス等のリトグラフが常設されているとともに、美術の授業で描いた生徒の作品が館内のいたるところに飾ってあり、生徒の感性や情操を豊かに育んでいます。そのような環境を知っていただくと共に、この公開を機に近隣にお住まいのみなさまにも多数ご来場いただき、女学館の生徒達や学校についてより深くご理解いただくことで、今後はいっそう深く地域のために関わっていく、はじめの一歩としたいと思います。

 

また、生徒の自主企画に加え、生徒たちがアートコンシェルジュとして、みなさまに絵画について説明をすることになっています。学校説明会や文化祭とは少し違う普段の雰囲気を、生徒の様子を通じて感じていただければと思います。お子様たちも楽しめる企画もたくさん準備をしていますし、美術館よりはゆったりと見ていただけると思いますので、ぜひ、お子様と一緒にご来校ください。

 

 東京女学館には他にも見どころがたくさんあります。ぜひ実際にお越しになって、ご自身の目でたくさんの発見をしてください。

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アンネのバラ委員会と理事長先生により育てられているアンネのバラ

 

ヨコハマアートサイト2018 会社まるごとギャラリー

 

こんにちは。私学妙案研究所の岡田です。長かった暑い夏が終わり、芸術の秋がやってきましたね。さて先日、横浜市金沢区で行われている「会社まるごとギャラリー『1+1=10!?』展」を見学させていただきました。期間限定で社内にアート作品を展示し、ギャラリーとして一般の方達にも開放するという企画です。

 

今回で6回目となるこちらの展示会は、横浜市地域文化サポート事業・ヨコハマアートサイト2018の助成も受けています。今回の「1+1=10!?」展のテーマは「コラボレーション」だそうです。仕事も遊びも、みんな力を合わせたら1+1+1=10くらい面白くなる!というイメージです。

 

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会社まるごとギャラリーではアーティストに加わってもらい、いくつかの協力企業とのコラボレーションにより、企業の商材や廃材を使ってアーティストが作品制作を通し、表現する展示会です。参加企業でそれぞれ会場があり、それぞれ展示作品があるのですが、今回は山陽印刷株式会社さんの展示会場にうかがいました。

 

山陽印刷株式会社は2013年からこの会社まるごとギャラリーを開催し、また同じ金沢区の企業とコラボレーションし、周辺地域の企業みんなで盛り上げてきた、この企画の中心的存在の会社です。

 

 作品の一部をご紹介いたします。まずは社長室です。デスクの上にもたくさんの展示がされています。毎年この時期、社長は別のところでお仕事をされるとのことです。

 

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それからバーカウンター、廊下、会議室、和室、展示コーナーなど会社内のいたるところに作品が展示されており、会社という働く場所という日常と、美術作品を鑑賞するという非日常が混ざりあった不思議な空間となっていました。

 

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作品の上にライトが吊るされていて、ライトを押すと立体的な影が映る作品です。

 

他社の作品も展示されています。写真はアーティストと鶴見金網株式会社さんとのコラボ作品です。

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また、企業だけでなく、大学とのコラボレーション作品も展示されています。

 

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山陽印刷株式会社さんは1990年に現在の横浜市金沢区福浦に移転しました。当時、会社の周りは何もない広場のような場所であったため、会社を移転するにあたり、会社だけれど、バーカウンターや展示コーナーを作り、会社で楽しく働けるようにと遊び心のある会社にし、周辺地域の方にも足を運んでいただき、さらには芸術にも触れていただけるような活動を行いたいという思いから会社まるごとギャラリーが生まれたそうです。

社内には、今回の「1+1=10!?」展の作品はもちろんのこと、過去に行われた会社まるごとギャラリーの作品も多数展示されています。ギャラリーツアーやワークショップも行われるそうですので、この機会に訪れてみてはいかがでしょうか。

 

↓横浜アートサイト 会社まるごとギャラリー2018「1+1=10!?」展の開催概要はこちら

会社まるごとギャラリー2018「1+1=10!?」展 | アーティストネットワーク+コンパス