中学高校のアントレプレナーシップ教育とは

アントレプレナーシップ教育、という言葉、聞かれたことはありますか。

アントレプレナー(entrepreneur)とは、英語で、起業家という意味です。ここから派生した言葉がアントレプレナーシップ(entrepreneurship)で、起業家精神と訳されます。

 

ここ10年ほどで、学生の起業を支援する授業や機関がある大学が増えてきました。同時に中高でも起業家教育、アントレプレナーシップ教育のプログラムを導入されるケースが増えてきました。起業家教育、アントレプレナーシップ教育とは、どんな教育なのでしょうか?



大学の起業支援との違い

大学での起業支援と、中高の起業家教育は少し目的や内容が異なります。

大学での起業支援は、学生のうちに、もしくは卒業後、実際に起業することをゴールとし、経営のための基礎知識の伝授や、専門家のサポートをしています。

例えば、関西学院大学のKwansei Gakuin STARTUP ACADEMYでは、学生が経営スキルを学び、起業家との事業プラン実行などを通して、起業できる状態になることを目指しています。

 

一方、中高でのアントレプレナーシップ教育は、すぐに起業するというよりも、起業家精神を育てることを目的としています。ではそれを学んだ生徒たちが例えば大学に進んで起業をすることを目的としているのかというとそうではなく、起業家マインドを学んだり、起業体験をすることによって、起業家に求められるマインド(チャレンジ精神、創造性、探究心等)、能力(情報収集・分析力、判断力、実行力、リーダーシップ、コミュニケーション力等)を育てることを目的としています。起業するしないに関わらず生きていく上で役立つマインドや能力と言えるのではないでしょうか。

 

文部科学省でも平成28年より「小・中学校等における起業体験推進事業」を実施していて、先に記載した起業家に求められる精神や能力は、この教育効果として提唱されているものです。

 

私立中高のアントレプレナーシップ教育

私立中高で行われているアントレプレナーシップ教育について、ご紹介します。

東京都品川区にある品川女子学院中等部・高等部には、起業体験プログラムがあります。文化祭の模擬店を株式会社に見立て、クラス単位で取り組みます。事業計画を提出し、登記、プレゼンテーション、文化祭当日の販売を経て、最後は株主総会を開催して会社を解散します(同行ウェブサイトより)。これ以外にも校内で様々なプロジェクト活動があります。

 

東京都杉並区にある佼成学園中学校・高等学校のグローバルコースでは、アントレプレナーシップの基礎の修徳、課題解決のためのプロトタイプの作成、投資家へのプレゼンテーションなど、継続的にアントレプレナーシップ教育を受けることができます。小中学生がゲームを通して投資を学べる「金融すごろく」を商品化した生徒さんもいらっしゃいます。

 

東京都北区にある聖学院中学校・高等学校で2021年度よりスタートした高校グローバルイノベーションクラスでは、「ものづくり」「ことづくり」を通して貢献できるグローバルイノベーターを育成することを目的としたプログラムが実施されています。高1、高2で行われる「Project」はゼミ形式の授業で、国際系・社会系・環境系などのテーマから自ら課題を設定し、その課題解決に向けて学内外で連携し、協働・研究活動を行うものです。これ以外にも校内にはいくつかプロジェクトが動いていて、プロジェクトを兼任している生徒もいます。

 

他にもアントレプレナーシップ教育を実施している学校は多くあります。学校選びの指針の一つにしていただけると幸いです(清水)。