神奈川県私立中学高等学校協会 創立70周年記念国際交流事業レポート ー鎌倉散策:前編

神奈川県私立中学高等学校協会(私立中高協会)は、今年度創立70周年を迎えられ、その記念事業の1つとして、国際交流事業が行われました。今回は鎌倉散策の前編をお伝えいたします。

 

■鎌倉散策

鎌倉散策は、6月24日(日)9:30-16:30、鎌倉学園およびその周辺で行われました。インターン生1名と中高生4-5名が1グループになり、それぞれ10グループで鎌倉市内散策と甲冑体験、ゆかた体験を行うというものです。

 

事前準備:

中高生のグループは、県内の私立中高から集まった計40名が、違う学校の生徒が混在する形でグループをつくり、そこに鎌倉学園のESSの生徒が1-2名アシストに入るという形でつくられました(鎌倉学園のESSの生徒さん達は、2014年より、鎌倉を訪れた外国人観光客を英語で案内する「KAMAKURA ENGLISH TOUR」を行っている、鎌倉案内の達人です)。事前学習は2回行われ、約1か月前の5月26日にグループ分けを行い、前日の6月23日に、コミュニケーションについて確認する会が行われました。散策コースの設定はグループに任されていたため、この1か月で準備を行ったそうです。

 

初対面、しかも別々の学校の生徒どうし、準備は大変だったのではないかと思って聞いてみたのですが、会う回数はそれほどつくれなくても、SNSでグループをつくり、話し合いを進めたそうです。事前に訪問先の下見をしていたグループもありました。訪問先について英語で説明ができるよう、事前に準備をしている生徒もいました。神奈川県内の私学とはいえ、鎌倉の訪問経験は生徒により差があります。そこを逆にうまく使い、あまり訪問したことのない生徒が要望を出し、よく知っている生徒が現実的なタイムラインに落としていくといった役割分担をしているチームもありました。

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当日:

案内の生徒達が集合し、まず、鎌倉散策を企画された、鎌倉学園英語科の飯塚直輝先生より、本日の流れについての確認がありました。

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インターン生のみなさんは連日の行事続きで疲れている方もいるので、リラックスして楽しめる会にすること、予定したルートでも混みあっていた場合は訪問先変更など臨機応変に対応することなど、ホスピタリティを大切にして散策を行えるよう、再確認をします。

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インターン生のみなさんが到着!お互いの自己紹介をして、早速鎌倉散策に出発です。

午前中はハナ・チャンさんのグループに同行させていただきました。

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鶴岡八幡宮に参拝し、参道を散策。お昼にお蕎麦を食べました。写真右端の鎌倉学園の日向さんは、ESSの活動でもう20回もツアーをしているベテランです。鶴岡八幡宮ではハナさんの疑問に全て答えられていました。

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デザートはぶどう飴!神社と食の両方を楽しめる、バランスの良いルートですね。グループの中で、最初、歴史の案内はちょっと苦手と言っていた生徒さん達も、途中から食の話でとても盛り上がっていました。また、道中ではクラブ活動や好きな教科、兄弟やペットの話など、色々な話題が出ていました。午後は、あじさいで有名な長谷寺などを訪問したそうです。ハナ・チャンさんは大学でコンピュータ・サイエンスと日本語を専攻しています。日本に来るのは初めてですが、トランジットで日本に寄ったことがあり、以前から日本にとても興味を持っていたそうです。今回のインターンで、新しい食べ物にたくさんチャレンジしたとともに、日本の人たちのやさしさが印象に残ったと話してくれました。

 

後半はこちら:

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神奈川県私立中学高等学校協会 創立70周年記念国際交流事業レポート ー英語ディベート大会・ディベート体験:後編

神奈川県私立中学高等学校協会(私立中高協会)は、今年度創立70周年を迎えられ、その記念事業の1つとして、国際交流事業が行われました。今回は英語ディベート大会・ディベート体験の後編をお伝えいたします。

 

前編はこちら: 

神奈川県私立中学高等学校協会 創立70周年記念国際交流事業レポート ー英語ディベート大会・ディベート体験:前編 - 私学妙案研究所News

 

第三試合が終わったところで得点による順位発表が行われ、3位が桐光学園B、2位は浅野B、1位は浅野Aとなりました。3位の桐光学園はこの後、メリーランド大学と「フレンドリーマッチ」を行います。1位の浅野Aと2位の浅野Bも決勝戦へと進みます(はからずも同じ学校での対戦となりました)。

 

さて、ここでちょっとブレイクタイム。他校との交流を図るために5×5の英文が書かれたビンゴカードが配られ、参加者同士が質問しあって該当する項目があれば英文の下の空欄に生徒に名前を書いてもらうというゲームが行われました。同じ学校の生徒に名前を記入してもらうことや、話すことはできません。話せるのは他校の生徒、それも英語で会話をするというルールです。生徒たちはとても楽しそうに英語で会話し、次々とビンゴカードを埋めている様子でした。英語を使うといつもよりも積極的に話せるようになるようです。

 

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いよいよフレンドリーマッチメリーランド大学(肯定側)対3位桐光学園Bチーム(否定側)の対戦です。論題は「All schools should require their students to wear uniforms.(すべての学校には制服があるべき)」

下の写真がフレンドリーマッチの様子です。互いに2番目のディベータに対し、挙手をし、異議を唱えます。とても白熱しています。

 

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結果はメリーランド大学の勝利!お互いの健闘を称えて握手をした後、写真撮影を行いました。

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そして決勝は浅野Bチーム(肯定派)対浅野Aチーム(否定派)。論題は「We should abolish the death penalty.(死刑は廃止されるべきだ)」。この論題が発表されると、会場では「おぉ~!!」と歓声が沸きました。会場の生徒たちも、先生もこの論題に興味津々な様子です。

試合が始まると浅野の生徒たちの英語力、論理的思考力のすごさに会場全体が聞き入ってしまいました。論点としては、「冤罪のケースもあるのに死刑を執行してもよいのか」「死刑があることが犯罪の抑止力になるのでは」「死刑宣告をしなければならない裁判官にストレスがかかる」などが挙げられ、肯定側、否定側が限られた時間の中でお互いの論点をしっかりととらえてディベートをしているところがすごかったです。また、浅野の生徒たちはただ英語を話すだけでなく、まるでラップを歌うかのようにリズムよく英語を話しており、それも相まって説得力が増していたように感じました。

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さて、結果は・・・

浅野A(否定側)の優勝でした!

優勝チームには金メダルと賞状、そして県知事賞としてトロフィーが贈呈されました。

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2位と3位のチームにも賞状やメダルが授与されました。また、大会で個人スコアーの高かった10位までの生徒が優秀ディベーターとして表彰されました。ワークショップのディベート体験で頑張っていた生徒たちにも「優秀ルーキーディベーター」として賞状が授与されました。みなさんおめでとうございます!

 

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今回のワークショップによるディベート体験とディベート大会は神奈川県私立中学高等学校の創立70周年記念国際交流事業の初の試みとして行われましたが、日々生徒たちが学習している英語よりも、より英語が身近なものになっていくとても素晴らしいイベントだと感じました。生徒たちも、「もっと英語を話せるようになりたい」、「上手くディベートで話すことができなかったので改めてチャレンジしたい」と話していたのがとても印象的でした。

神奈川県私立中学高等学校協会 創立70周年記念国際交流事業レポート ー英語ディベート大会・ディベート体験:前編

神奈川県私立中学高等学校協会(私立中高協会)は、今年度創立70周年を迎えられ、その記念事業の1つとして、国際交流事業が行われました。2018年6月8日~25日までの18日間、神奈川県の姉妹都市であるアメリメリーランド州の、メリーランド州立大学ボルチモア校、およびカレッジパークから、10名の大学生をインターンとして招き、県内私学でのアシスタントティーチチング、時宗総本山遊行寺での宿坊体験、ディベート大会、鎌倉散策を通して国際交流、異文化理解をするというものです。

 

私学妙案研究所ではディベート大会と鎌倉散策を取材させていただきましたので、4回にわたってその様子をお伝えします。

 

インターンスケジュール

・6月8日 羽田着&オリエンテーション

・6月9日 海外移住資料館見学後、ホストファミリーへ

・6月10日~6月15日 県内私学各校でインターン・アシスタントティーチング

・6月15日~16日 時宗総本山遊行寺での宿坊体験

・6月18日~22日 県内私学各校でインターン・アシスタントティーチング(2校目)

・6月23日 ディベート大会にジャッジとして参加

・6月24日 鎌倉散策

・6月25日 帰国

 

■英語ディベート大会・ディベート体験

ディベート大会は、6月23日(土)9:30-16:30、神奈川県私学会館で行われました。県内の私立中高から15校が集まり、ワークショップ形式のディベート体験とディベート大会(どちらも英語)が、同時進行で行われました。

 

どちらのプログラムにもインターン生がジャッジやディベート指導として入ります。また、ディベート大会の予選3試合ののちに、3位のチームと、インターン生のチームがディベートを行う「フレンドリーマッチ」も行われました。

 

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講堂で行われたワークショップ形式のディベート体験は、初心者大歓迎の体験イベント。ディベートの準備をどのように進めるかを「タバコ禁止」という論題を例にとり練習を行いました。

 

まず、3人チームのそれぞれのスピーカーの役割を確認しました。

1番目のディベーターが肯定もしくは否定の定義、肯定もしくは否定のポイントの数と説明、結論を話し、

2番目のディベーターは肯定もしくは否定への反論、肯定もしくは否定の建て直しを行い改めて説明をする。

そして3番目のディベーターはディベートのまとめとして最も重要なことを述べ、自身の意見が優れている理由を述べて終わるという、ディベートの一連の流れを行いました。

 

各校の生徒は他校の生徒とチームを組み、役割分担をして一連の流れを体験しました。英語に自信のない生徒も一生懸命に自分たちの意見を述べ、英語のみならず、ディベートをする楽しさに触れているのがとても印象的でした。

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もう一つの会場ではディベート大会が行われました。こちらは、学校ごとにチームがつくられます。1チーム3名で、ディベートの論題、肯定側か否定側は当日に通知されるスタイルです。また、対戦相手も当日の通知です。

論題には、「Single-sex schools are better than co-ed schools.(別学は共学よりも良い)」や「Violent video games should be banned.(暴力的なビデオゲームは禁止されるべき)」などがありました。

まず、全14チームが7会場に分かれて、回ごとに対戦相手を変えて合計3回対戦を行います。各チームが準備のために与えられる時間は約15分。チームごとに別室で準備を行った後、指定された教室へ行きチーム対戦を行う形です。約15分間の準備時間では辞書をひくことはできますが、インターネットでの検索などは禁止されており、生徒達は自身の知識を使って自分たちの意見をまとめ、各学校対戦チームからの反論をシュミレーションしながら準備を行っていました。

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ジャッジ役には、経験豊かな社会人、大学生に加え、インターン生が入ります。生徒たちは試合が始まると、身振り手振りも加えながら意見をぶつけ合います。

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試合が終わればお互いのチームどうし握手をし、健闘を称えあっていました。

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後編はこちら:

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講演会「私学の魅力」(in 神奈川私立中学相談会)

2018429日に開催された、神奈川私立中学相談会において、弊社代表小嶋が「私学の魅力」というタイトルで講演を行いました。その内容をご紹介いたします。 

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■これからの世の中で必要とされる力

これまでの世の中では正確に処理する能力を持ち、正解は一つで、その正解に早くたどり着ける「ジグソーパズル型」の人材が必要とされてきました。中学入試の問題も、正解を選択肢の中から選びとるタイプの問題が多かった時代です。

 

しかし今、社会で求められるのは、一つの問題に対して色々な解答や考え方ができる人ではないでしょうか。入試問題も、考え方を問うような問題が多くなってきています。

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時代が変わっても親の願いは「将来社会で通用する力をつけて自立してほしい」ということです。そして、今起こっている時代の変化への対応が早いのは、私学だと思います。

公立ももちろん新しい取り組みを始めていますが、私学とは変化のスピードが違います。それが私学の学費、年間約100万円の対価だと思っています。

 

■小学生の時間の使い方 

 ここで、1年間の時間の使い方を考えてみたいと思います。1日8時間の睡眠は、1年間に置き換えると、4か月間になります。では残り8か月はどのように使われているのでしょうか。もしゲーム、スマホやテレビを1日2時間すると約1か月間、公立小学校で国語と算数を各45分、週5日間、10か月間学ぶと、12.5日です。テレビ、ゲーム、スマホは悪いものだとは思いませんが、1日2時間だと、国語、算数よりも影響力が大きいということを、保護者のみなさまの頭の片隅に置いた上で、子どもたちに与える環境について考えていただければ幸いです。 

 

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■個別対応で子どもは自立するか

では子どもの自立のためにどのような環境を用意すべきでしょうか。私は、親の満足度と子どもの成長はイコールだとは思いません。最近の傾向として、塾や習い事において個別指導を求める保護者の方が増えていると感じます。集団指導よりも「うちの子1人だけを見てくれる」個別指導が安心できるという思いはわかります。しかしこの環境が本当に子どもの自立を促すでしょうか。

 

1年生から入れる小学生対象の野球教室に、すぐに入らず、1年生から3年生まで個別指導でピッチングとバッティングを見てもらった上で、4年生から入ったお子さんがいるそうです。その子はそれまで個別指導でじっくり鍛えられたので、技術力は高い。ただし、野球というスポーツでは、コミュニケーション能力も求められます。野球教室は、チームメイトとのかかわり、コーチ、監督とのかかわりも学ぶ場所です。また、チームメイトと自分を比較して、技術や練習の仕方の違いに気づき、自分の行動を変えてみることなども、そこで得られる自立的な学びだと思います。

 

「今の若い人たちは、能力は高いがコミュニケーション能力が低い」という話をよく聞きます。では誰がそういう風に育てたのか?今の傾向に照らし合わせると、もしかすると個別対応を望む親ではないのかな、と思うのです。子どもが本当に自立できるのはどのような環境なのか、あらためて考えてみてはいかがでしょうか。

 

■学校をどのような視点で選ぶか

私学について日能研発行の「私学のヒミツ」私学妙案研究所発行の「教育とお金」を用いて説明いたします。学校選択、合格の目安として、日能研でも各校に偏差値をつけております。この偏差値は入試の状況により毎年変わります。その数値がこの40年で大きく上がった学校もあります。偏差値50というと、真ん中ととらえがちですが、中学受験をする生徒の中での偏差値なので、学校が平均以下というわけではありません。偏差値50以下でも難関大学への現役合格率が高い学校も数多くあります。また、私学の多くは大学受験に向けての講習が充実しています。公立中高に通っても塾の費用が必要になりますから、そのような視点でも金額の比較をしてみてください。

 

では私学の中で、どのような学校を選ぶべきか。入学後6年間通学するのはお子さんですので、お子さんと一緒に学校に行き、色々と聞いてみるのがよいと思います。ひとつの観点として、お子さんの6年間の成長ストーリーがイメージとして明確に思いうかべられる学校を選んでください。子どもたちが、この学校だったら僕は勉強がしたくなる、友達と遊びたくなる、部活動をがんばれる、それがお子さんにとって良い学校だと思います。

 

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たくさんの方にご参加いただきました。ありがとうございました。