みなさまこんにちは。私学妙案研究所の清水です。
過去2回のブログで、小学生のプログラミング学習の意味とビジュアルプログラミング言語を使った学習ツールについて、ご紹介しました。
今回ご紹介するのは、ロボットやセンサなどを使った学習ツールです。
PC内で作ったコマンドで実際の物を動かしたり、センサを使って得たデータを、PC内で活用したりといったことができるものです。
ロボット教室などで使われているのが、こういったツールです。
■m-Bot(エムボット)
m-Botとは、Makeblock社が開発した、教育用のロボットです。arduinoという、基盤(プログラムしたものを実際に動かすための小さなコンピュータ)と、センサ(超音波センサ、光センサ、ライントレースセンサ)、モーターを組み合わせた小型ロボットで、スクラッチに似たビジュアルプログラミング言語で作った動きを、実際に動かしてみることが可能です(センサの設定もできます)。
このタイプのロボットはいろいろとありますが、m-Botが面白いのは、自分で組み立てる部分があることです。はんだ付けなどの技術は必要ありませんが、タイヤがついたロボットに、自分でセンサや基盤をつけることで、ロボットの構成要素について知ることができます。スクラッチがある程度使いこなせるようになったら、チャレンジしてみると面白いと思います。arduino言語でも動かすことができるので、arduinoの入門としても良いと思います。
■little Bits(リトルビッツ)
little Bitsとは、電子回路をブロックのように組み合わせることで、電子工作の基礎知識が無くても電子工作を楽しめるブロックです。本来であれば、基盤の構造を知り、接続パーツを調べ購入し、はんだ付けをして、という手順を踏まなければできない電子工作を、パーツをマグネットでつなげるだけで行えます。
パーツは、POWER(電源)、INPUT(ボタン、スイッチ、センサ)、WIRE(回路の分岐やブルートゥース、USBなどとの接続)、OUTPUT(ブザーやライト、モーター)の4つで、それぞれ色分けされています。
電子回路って、ざっくりと説明すると、電源が必要で、ボタンを押したりセンサーでスイッチを押すなどのアクションがあり、その結果を(プログラムをはさんだりはさまなかったりして)なんらかの動きとして示す、というものなのですが、パッケージ化されてしまうと、よくわからないですよね。little Bitsは、それを理解するためのキットと言えます。
先に紹介したmBotのような学習用ロボットに近いキットも販売されていますし(Blue Tooth接続して動かせるものもあります)、必要なパーツを買い揃えることもできます。arduinoパーツが発売されるなど、今後の展開が楽しみなツールです。
■koov(クーブ)
ソニーグローバルエデュケーションが開発した、オリジナルのロボットをつくれるキットです。little Bitsのような電子工作キットと、自由に形がつくれるブロック、パーツがあり、自分で形や動きを考えて、つくり、動かすことができます(アプリをダウンロードして、ビジュアルプログラミング、学習コマンドなど試せます)。ロボットレシピも公開されていますので、いくつかレシピどおりにつくってみて、その上でオリジナルをつくることも可能です。スターターキットが3万円後半と少し高めですが、ブロック工作が好きなお子さんが、その発展で電子工作に親しむという流れは、つくりやすいと思います。
■MESH(メッシュ)
こちらは、IoT(Internet of Things)を学ぶのに、適した学習ツールだと思います。IoTとは、モノをインターネットでつなげて生活を便利にするツールのことです。色々なものにセンサーをつけ、その情報をインターネットを介してつなげることにより、自動でアクションを起こしたり、たくさんのデータをためて分析することで動向をつかんだりができるようになることです。
具体的には、例えば部屋に温度センサをつけておき、室温が28度を超えたら音声でお知らせしたり、人感センサを入り口に設置し、動きを察知したらメールでお知らせが来たりなど、生活の様々なシーンですでに使われています。
MESHを使うと、これからますます導入が増えるであろうIoTを、受身で使うだけでなく、仕組みを知って、自分で簡単に設計してみることができます。MESH自体はスイッチやセンサー、ライトなどがブロック化されたものです。それをアプリ上でビジュアルに組み合わせることで、オリジナルのIoTプログラムをつくり、動作させることができます。「LINE」など、メッセージアプリと組み合わせることも可能です。
普段生活で困っていることや、あったらいいなということを、自分で組み合わせを考えて、形にしてみてはいかがでしょうか。
■BOCCO(ボッコ)
ユカイ工学が開発した、IoTの技術を使って、在宅中の子どもの見守りをするロボットです。正確に言うとこちらは学習ツールではないのですが、MESHのようにセンサがブロック化していて、自分で設定をすることができるため、IoT理解のはじめの一歩としても、良いと思います。
センサは「振動」「鍵」「部屋」「人感」の4種類、アクションは、主にメッセージと音声です。例えば振動センサーをドアにつけておいて、センサーが反応したらBOCCOが「おかえりー」や「忘れ物ないかなー」などと言うようにしたり(メッセージはオリジナルで作成可能)、子どもに立ち入ってほしくない危険な場所に人感センサーをつけておいて、センサが反応したら「入っちゃだめだよー」と音声が流れたり、スマートフォンにメッセージが届くようにすることができます。
センサーをどう組み合わせれば何ができるかを、親子で話し合って設定しても良いですね(天気をお知らせしたり、メッセージをやり取りできる機能もあります)。
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長くなってしまいましたが、いくつかの種類のロボット、IoT学習ツールをご紹介しました。ひとつ前にご紹介したビジュアルプログラミングの学習ツールは、無料で始められるものがほとんどですが、今回ご紹介しているものは、パーツやキットなどの購入が必要になります。ご家庭で始められるようにスタート価格が3万円台までのものに限定しました。まずは無料のプログラミングツールを試してみて、お子様の理解度や興味により、ロボットキットなどの購入を考えてみる、というのが良いと思います。
また、これらによりプログラミングや電子工作への興味が深まった場合、次の段階は実際にはんだ付けをしたり、自分でパーツをそろえたり、パーツをつくったり、プログラミングのコードを書いたりすることです。最初に書いたように、すべての子ども達がここに踏み入れる必要はないと思いますが、もっと学びたいという子ども達には、それぞれの学習ツールに発展系が準備されていますので、それらを入り口として「メイカー」を目指してもらえたらと思います。
↓過去の記事はこちらです。